今回は作りこそものすごく良いのにほとんど注目されない“チェリーニ”を取り上げてみたいと思う。
おそらくチェリーニと聞いても、我々専門メディアも含めて、ほとんど記事として取り上げられることがないため、どんなモデルか知らない人も多いのかもしれない。そこでまず簡単にチェリーニコレクションについて触れておきたい。
ロレックスコピーチェリーニは1976年に手巻きのドレスウオッチとして登場。それ以降ロレックスのラインナップには、デイトナやデイトジャストなどが属し、100m防水以上の優れた防水能力を備えたオイスターケースに自動巻きムーヴメントを採用するオイスターコレクションと、それを採用せず、しかもすべてのラインナップがゴールド仕様で、手巻きムーヴメントを搭載するドレス系ライン、チェリーニコレクションの大きく二つで構成されていた(と言ってもオイスターが大半を占めた)。ちなみに名前は16世紀のイタリアで活躍した彫金家かつ彫刻家でもあったベンベヌト・チェリーニに由来するらしい。
そんなチェリーニコレクションだが、ドレス系かつモダンな雰囲気の強いデザインがかつては多かったこともあって、歴史の古いオイスターコレクションに対して注目されることはほとんどなかった。それが2014年のフルモデルチェンジでそのテイストを一新。細身のインデックスやダブルベゼルを採用してクラシカルな印象をぐっと高めて登場したのだった。
もちろん、ケース素材に採用したのはエバーローズゴールドとホワイトゴールドのみ。またムーヴメントも手巻きから自動巻きに変更し実用性も高めた、まさに大人のドレスラインとして生まれかわったというわけである。
ラインナップは、ここに取り上げたセカンドタイム表示付きのチェリーニ デュアルタイムのほか、デイトモデルと3針、そしてムーンフェイズの4種類が展開された。
ただ、モデルチェンジ後も圧倒的な支持を受けるオイスターコレクションには遠く及ばなかったのだろう。2021年に後発だったムーンフェイズだけを残してすべて生産終了となってしまったのである。