その最大の特徴は、なんといっても驚異的な「3,900メートル防水」性能である。この数字は、有人潜水艦以外での潜水記録を大幅に上回る、文字通り「深海」の領域に対応するために開発された。これを可能にしたのは、ロレックスが独自に開発した「リングロックシステム」と呼ばれる革命的な耐圧構造だ。高性能窒化ケイ素製のドームと、バイメタル製のケース中央部、そして背面のチタンブロックという3層構造が、水圧という極限の環境からムーブメントを守る。

44mmのオイスターケースは、過酷な水圧に耐えるために分厚くラゲッドな造形となり、その存在感は圧倒的である。しかし、その重量はチタンケースバックの採用により、可能な限り軽量化が図られている。文字盤は「マキシダイアル」を採用し、特大のインダイヤルと広い針先端に「クロマライト」発光材を塗布。漆黒の深海であっても、青く長く輝き続け、圧倒的な視認性を確保する。

内部には最高級クロノメーター認定を受けた自動巻きムーブメント「キャリバー3235」を搭載。週末を跨いでも正確さを保つ70時間のパワーリザーブと、耐磁性、耐衝撃性に優れた高性能を内包する。

ロレックス シードゥエラー ディープシーは、単なる時計ではない。それは、人類がまだ見ぬ深海世界への憧れと、それに挑む技術力の結晶なのである。その圧倒的な存在感は、極限環境への挑戦という人類の夢を、確かな技術の力で静かに、しかし力強く語りかけてやまない。まさに、腕に纏う深海探査艇なのである。