そのデザインは、他のロレックスとは一線を画す独創性を持っています。38mmのステンレススティールケースは、当時の標準的なサイズながら、その中に革新的な技術を秘めていました。最大の特徴は、何と言ってもその名称の由来ともなった「1,000ガウス」という驚異的な耐磁性を実現するための技術です。これは、軟鉄製のインナーケースでムーブメントを覆い、強磁場から守るという画期的な方法で達成されました。

しかし、このモデルを最も印象づけるのは、そのユニークなビジュアルです。文字盤は、しばしば「ハニカム」と呼ばれる蜂の巣状の模様が施されたものや、ブラックのプレーンなダイアルが存在します。そして、何よりも特徴的なのは、現在のミルガウスのトレードマークでもある「サンダーボルト（稲妻）」型の秒針。この独創的なデザインは、電磁気や科学のエネルギーを象徴し、時計に強烈なアイデンティティを与えています。

その心臓部は、当時のロレックスが誇ったキャリバー1065。この自動巻きムーブメントは、耐磁性という過酷な要件を満たしながらも、高い精度を維持しました。

ロレックス ミルガウス Ref.6541は、単なる道具を超えて、科学技術の発展に寄り添った歴史の証人。その希少性と歴史的価値から、今日では熱心なコレクターが追い求める伝説のモデルとなりました。所有する者は、ロレックスの技術的挑戦の歴史の一片を腕に刻む、特別な栄誉を手に入れるのです。