ロレックスの時計と言えば、海に潜り、山を登り、空を飛ぶ、タフなスポーツモデルがまず思い浮かぶ。しかし、その礎には、卓越した技術と洗練された美学で「正装時計」の領域を極めた「チェリーニ」の系譜が流れている。Ref.50515は、その現代的な解釈として、円という完璧な造形美を純粋に追求した一作である。
その最大の特徴は、文字盤の中央を貫く「サークル」のモチーフにある。太陽光線模様(サンレイ仕上げ)が施された明るいシルバーダイアルの上に、同心円状の溝彫り(ギョーシェ)が施された小円盤が浮かび上がる。針とダイヤモンド・インデックスは、この円環の外縁に配され、時間の流れを円滑に示す。無駄を徹底的に排したこの構成は、レオナルド・ダ・ヴィンチを想起させるルネサンス的調和と、現代的なミニマリズムが見事に融合した瞬間である。
39mmのエバーローズゴールド・ケースは、控えめな厚みと、柔らかく磨かれた光沢によって、袖口に優しく収まるフォーマルなシルエットを形成する。ダイヤモンドをあしらったモデルも存在するが、この50515は、貴金属の素材感と幾何学的美学のみで勝負する、より知性的で静かな佇まいを選んでいる。
内部には、ロレックスが誇る超薄型の手巻きムーブメントが収められる。自動巻きの便利さはないが、その分、ケースの薄さと、時計と人との一期一会の関わり(毎日巻き上げる行為)にこそ、チェリーニの精神は宿る。
Ref.50515は、
ロレックスコピーのもう一つの頂点である。派手な主張は一切ないが、円環が描く静謐な世界は、それ自体が、時を愛でる者のための小さな芸術作品なのである。