ロレックスと言えば、プロフェッショナルなスポーツモデルの印象が強い。しかし、同社にはもう一つの顔がある。厳格なドレスコードに応える、究極のフォーマルウォッチ。それが「チェリーニ」コレクションである。Ref.50709RBRは、その中でも特に宝飾技巧と伝統的な時計美を結晶させた、比類なき優美さを誇る一本である。
その魅力は、何よりも端正な丸みを帯びた39mmのエバーローズゴールドケースにある。ロレックス独自開発のこのピンクゴールドは、パラジウムを配合することで、時とともに深みを増す独特の温かみのある光沢を放つ。ケースサイドには、チェリーニの特徴である美しい溝状の装飾(フルート加工)が施され、光を受けて繊細な陰影を描く。
しかし、このモデルを特別な存在へと高めているのは、ダイヤモンドの煌めきである。ベゼルには、二列にわたって精緻なブリリアントカットダイヤモンドが敷き詰められ、エバーローズゴールドの暖色と相まって、炎のゆらめきのような柔らかな発光を生み出す。ホワイトラッカーの文字盤には、バーインデックスと、ローマ数字のVIをあしらった一点のダイヤモンド。この控えめなアクセントが、過度な装飾に頼らない上品な華やかさを演出している。
内部には、ロレックス自社開発の手巻きムーブメントが息づく。自動巻きではないという選択は、フォーマルなドレスウォッチの細く薄いシルエットを実現するための、伝統に裏打ちされた英断である。リューズに指をかける朝のひとときは、時計と人が対話する、静謐な儀式となる。
50709RBRは、パーティードレスの襟元で密やかに輝くダイヤモンドのブローチのように、決して自己主張は強くない。しかし、その存在に気づいた者だけが知る。ロレックスがこのような静謐な美を生み出し得ること、そして円環の宝石が永遠のクラシシズムを宿していることを。