2007年、バーゼルワールドでロレックスは一つの革命的時計を発表した。世界初の機械式メモリーを備えたレガッタクロノグラフ「ヨットマスターII」の誕生である 。Ref.116688は、このコレクションの中でも特に圧倒的な存在感を放つ、18Kイエローゴールド製の傑作である。
44mmのヘビーウエイトケースは、約249gという確かな重量感が所有する喜びを静かに物語る 。最大の特徴は、ロレックス特許の「リングコマンドベゼル」を搭載した鮮やかなブルーセラミック製ベゼルである。このベゼルは単なる装飾ではなく、反時計回りに回転させることでムーブメントと連動し、ヨットレースのスタートシーケンスに不可欠な10分間のプログラマブル・カウントダウン機能を設定することができる 。この独創的な機構こそ、この時計が「帆船競技用計器」である所以である。
ホワイトラッカーの文字盤には、視認性を極限まで高めた工夫が随所に散りばめられている。10分間のカウントダウンを示す赤い三角形の大きな針、そして6時位置のスモールセコンドが、白のキャンバスに鮮烈なアクセントを添える。夜光塗料を施したゴールドの針と立体的な正方形時標は、昼夜を問わず確かな視認性を確保する 。
心臓部に搭載されるのは、ロレックス自社製のキャリバー4161である。デイトナの4130をベースに開発されたこの自動巻きクロノグラフムーブメントは、10の新規特許を取得し、約72時間のパワーリザーブを誇る 。パラクロム・ブルーヒゲゼンマイの採用により卓越した耐磁性と耐衝撃性を実現している。
100mの防水性能と堅牢なオイスターブレスレットが、プロフェッショナルツールとしての実力を裏付けている。116688は、単なる時計ではない。それは、千帆競うヨットレースのスタートラインで、勝利を約束するための黄金の航海計器なのである。