ロレックスのプロフェッショナルウォッチコレクションの中でも、特にエレガントな存在感を放つのが「ヨットマスター」である。サブマリーナのような本格的なダイバーズウォッチとは異なり、ヨットマスターはセーリングという優雅なスポーツシーンにインスパイアされて誕生した。その中でも、軽快さと機能美を極めたモデルが「ヨットマスター 268655」である。
このモデルの最大の特徴は、ケースサイズと素材の選択にある。ケース径は37mm。従来の40mmモデルよりも一回り小ぶりであり、特に細身の腕や女性でも無理なく着用できるサイズ感を実現している。しかし、単に小さいだけではない。ケース素材には、ロレックスが開発した軽量で錆びにくい「オイスタースチール」と、18ctエバーローズゴールドを組み合わせた「ロレゾール」を採用している。ピンクゴールドの温かみとスチールの無骨さのコントラストが、この時計に独特のエレガントな印象を与えている。
ベゼルは、ヨットマスターの象徴である「60分目盛り付きプラチナ製ベゼル」を採用。セラミックではなく、貴金属であるプラチナの緻密な光沢が、時計全体の格を一段と引き上げている。スチールやゴールドとは異なる、落ち着いた白い輝きが、文字盤の深い黒と絶妙なコントラストを生み出している。
文字盤はブラック。特徴的なクロマライトディスプレイ(長持ちする夜光塗料)が塗布された大きなインデックスと、メルセデス針により、視認性は非常に高い。3時位置には日付表示窓があり、サイクロプスレンズによってその視認性をさらに高めている。派手さはないが、必要な情報はすべて過不足なく得られる。これこそが、ロレックスが追い求める「プロフェッショナル」の条件である。
心臓部には、自動巻きムーブメント「キャリバー2236」を搭載する。このムーブメントの大きな特徴は、シリコン製のヒゲゼンマイ「シロックス」を採用している点だ。シリコンは耐磁性、耐震性に優れ、温度変化にも強い。これにより、長期間にわたって高い精度を維持することが可能となっている。パワーリザーブは約55時間。さらに、100mの防水性能を備えていることも見逃せない。
ブレスレットは、オイスターフレックスと名付けられたラバーストラップだ。しかし、ただのラバーではない。内部に金属製のブレードを内蔵することで、耐久性と形状維持能力を高めている。表面には優雅なサテン仕上げが施され、高級時計にふさわしい質感を実現している。ヨットマスター 268655は、海を愛するすべての人に捧げる、スポーティでありながらも決して粗野にならない、現代のクラシックである。