ロレックス サブマリーナ デイト Ref.16618は、1980年代半ばに登場したフルゴールドのダイバーズウォッチです。その中でも、オニックス(黒曜石)文字盤を備えた個体は、極めて希少なコレクターズアイテムとして知られています。通常のブラックラッカーダイヤルと一見似ていますが、このオニックス仕様は、天然石を0.2mmの薄さに削り出し、熟練の職人によって丹念に加工された芸術品です。その生産の難しさから、ロレックスの厳しい検査を通過できるのは10個中わずか2個ほどだったと言われています。
このモデルの最大の特徴は、何と言ってもその漆黒の文字盤の美しさにあります。光を吸い込むような深い黒色は、まるで固体の闇を覗き込むかのような神秘的な輝きを放ちます。その漆黒のキャンバスに、18Kイエローゴールドのケースとブレスレットが織りなすコントラストは、目を見張るものがあります。文字盤の詳細を見ると、一般的なモデルとは異なる独特のフォントと、日付表示窓を縁取るゴールドの小さなフレームが、この時計の希少性を静かに物語っています。
ケースサイズは40mm。心臓部には、高い信頼性を誇る自社製自動巻きムーブメント「キャリバー3135」が搭載されています。当時の価格は、通常のゴールドモデルが約1万ドルだったのに対し、このオニックス仕様は1万7000ドル超という高値で販売されていました。この価格差が、生産数の少なさにも影響を与えたと推測されます。
Ref.16618のオニックス文字盤は、1990年代初頭にロレックスがサブマリーナに採用した数少ないストーンダイヤルの一つです。現在、このモデルは、オリジナルのボックスや保証書が揃った完全品(フルセット)で登場することが稀であり、オークションなどで高値で取引される、まさに「獲物」と呼ぶにふさわしい存在です。