ロレックスが1954年にパンアメリカン航空のパイロットのために開発したGMTマスターは、二つの時間帯を同時に表示できる機能で、瞬く間に国際的な旅人の必需品となりました。その実用的なツールウォッチの遺伝子を受け継ぎながら、よりラグジュアリーな解釈で1981年に登場したのが、リファレンス16758です。この18Kイエローゴールド製のモデルは、1988年までの比較的短い期間だけ生産された、希少な存在です。
このモデルの最大の特徴は、フルゴールドのケースとブレスレットにあります。ケース径は40mm。堅牢なステンレススチール製のオリジナルとは異なり、イエローゴールドの温かみのある輝きが、この時計に旅の道具以上の格調を与えています。この「ラグジュアリー・エボリューション」の過程で、風防も従来のアクリルから傷に強いサファイアクリスタルへとアップグレードされました。
このモデルの真価は、その多様な表情にあります。ブラックやシャンパン、そして特徴的なブラウンとクリームのツートンカラーベゼルを備えたバリエーションが存在します。特にコレクターの間で人気が高いのが、「ニップル・ダイヤル」と呼ばれる文字盤仕様です。これは、針先のインデックスがわずかに盛り上がった形状をしており、ヴィンテージ感を強く演出します。搭載される自動巻きムーブメント「キャリバー3075」は、クイックセット機能付きの日付表示とGMT機能を備え、約44時間のパワーリザーブを誇ります。
さらに、このref.16758には、極めて希少なバリエーションも存在します。ベゼルにダイヤモンド、ルビー、サファイアをセットした「SARU(サル)」モデルです。この特別な仕様は、公のオークションにこれまでに数点しか登場しない、まさに「獲物」と呼ぶにふさわしい存在です。
GMTマスター16758。それは、パイロットのための道具として生まれたGMTマスターの歴史を継承しつつ、貴金属と職人技によって、時代を超えたエレガンスを纏った、まさに「黄金の旅人」のための一本です。