ロレックスのGMTマスターは、1954年、パンアメリカン航空のパイロットが長距離飛行で複数の時間帯を把握するために開発されたモデルである。その第二世代として登場したのが、リファレンス1675である。1959年から1980年まで製造され、ロレックスの歴史の中で最も長い生産期間を誇るこのモデルは、現在も多くの時計愛好家を魅了し続けている。
このモデルの最大の特徴は、先代のRef.6542から受け継がれた機能性を、より堅牢な構造へと進化させた点にある。ベゼルインサートは、割れやすいバークライト製からアルミニウム製へと変更され、ケースにはリューズを保護するクラウンガードが追加された。これらの改良により、GMTマスターはデイリーユースに耐える信頼性の高い道具へと生まれ変わったのである。
Ref.1675の魅力は、そのバリエーションの豊富さにもある。文字盤は、初期のグロス仕上げの「ギルト・ダイヤル(金色文字盤)」から、マット仕上げの白文字盤へと移行した。また、GMT針は初期の小型矢印型から、視認性の高い大型タイプへと変更されている。さらに、ベゼルのカラーは、赤と青の「ペプシ」をはじめ、茶色とクリームの「ルートビア」、黒、そしてフランス空軍向けに製作された希少なブルーベリーなど、多種多様なバリエーションが存在する。素材も、ステンレススチールに加え、イエローゴールドや「ロレゾール」と呼ばれるコンビネーションモデルが登場した。
ケース径は約40mm。心臓部には、高精度な自動巻きムーブメント「キャリバー1560」または「1570」が搭載され、当時のプロフェッショナル仕様にふさわしい信頼性を提供した。革新的な機構と時代を超えたデザインが融合したGMTマスター1675は、今日においても、旅の記憶とロレックスの歴史を語り継ぐ、紛れもないアイコンである。