ロレックスといえば、オイスターケースに象徴される堅牢なスポーツウォッチを思い浮かべる人が多いだろう。しかし、チェリーニ・コレクションは、そのイメージを覆す唯一のドレスウォッチ・ラインとして、ロレックスのもう一つの顔を体現している。Ref.50529は、2014年に発表された新生チェリーニの中でも、デュアルタイムという複雑機構を備えた最上位モデルである。
この時計の名は、16世紀ルネサンス期のイタリアの金細工師ベンヴェヌート・チェリーニに由来する。直径39mmの18Kホワイトゴールド製ケースは、オイスターケースとは異なる丸みを帯びたクラシカルなフォルムを持ち、厚みを抑えたエレガントなシルエットが特徴だ。
ダイヤルの真髄は、6時位置に配された第二時間帯表示にある。メインの時分針が現地時間を示す一方、小さなインダイヤルが故郷の時刻を12時間形式で表示する。その左側には、昼は太陽、夜は月を描いた小さな窓が設けられ、昼夜を一目で判別できる粋な仕掛けとなっている。GMTマスターのような24時間表示ではなく、あくまでドレスウォッチとしての美意識を優先した設計だ。シルバーのギョーシェ模様が施された文字盤には、18Kホワイトゴールドのアワーマーカーが配され、余白を活かした絶妙なバランスが上品な印象を与える。
心臓部には、自動巻きムーブメント「キャリバー3180」が搭載され、約48時間のパワーリザーブを誇る。防水性は50mに設定され、日常使いに十分な実用性を備えている。
チェリーニ デュアルタイム 50529は、スポーツの世界とは一線を画した、ロレックスの静かなる芸術作品である。ビジネスの場でも、旅先でも、二つの時間を優雅に刻むこの時計は、大人のための真のドレスウォッチと言えるだろう。